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ペン先用の地金を造る(その3)
ここのところ新着商品のご予約の品の整備が集中してカタログの更新が

なかなかはかどらず、申し訳ない気持ちです。

ペン先用の地金は薄い帯板状のものを使用します。

今回は非常に大きなサイズのペン先を作るので

幅18mm、長さは1個あたり38mmになり、それを10個分の帯板を2つ注文しました。

こんな感じ。

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今、金は非常に高騰しており、蒔絵の先生には「今時金を買うなど狂気の沙汰」

とまで言われましたが、投資なくして進歩無し。

今の時代、お客様の注文を待っていても仕事など作れません。

まずは、現物を提示することが大切です。

絵に描いた餅は食えないのです。

ペン先1個分の地金はこんな感じ。

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この後は特別な圧延ローラーで板厚を傾斜させる加工を施します。



ずしりと重く、気落ちにものしかかってきます。
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by pencluster | 2014-06-15 20:56 | Going the Distance
ペン先用の地金を造る(その2)
まずは、90年前の技術をトレースするために、モンブラン・マイスターシュテュックの18cニブを

蛍光X線分析装置で合金成分の分析を行ってみた。

ある強度のX線を当てるとその元素固有の蛍光X線が放出される。

それを測定することでどんな元素がどれくらい含まれているかおよその量が分かる。

結果は以下の通りで、極々普通の18k。今でも多くの指輪などのジュエリーが

ほぼこの割合である。

b0215343_1926507.jpg


グラフのピークにAu,Ag,Cuの文字が見られ、それぞれの重量%の推定値が算出される。

Au:75.05%

Ag:15.32%

Cu:9.63%

典型的なイエローゴールド。その他にもいくつかピークが見られるのは恐らく不純物。

これが強度に効いて、ふあふわのしなりを生んでいる可能性もある。

今は精錬の技術が高いので90年前の不純物添加を再現するのは逆に難しい場合がある。

インゴットの純度が高すぎるのである。90年前不可避な元素が有効な場合はちょっと困ったことになる。

調べるにはもっと詳細な分析が必要だが1元素あたり数万円取られるし

貴重な90年前の遺産を破壊しなければならないので今回は見送った。

この組成の18kをこちらの地金屋さんにお願いして作ってもらう。

b0215343_21342185.jpg


都内某所の住宅街の真ん中にある下町の一軒家にその地金屋さんはある。

世界中のプライベート・ジュエラーや研究機関がこちらを頼りにしている。

なんといっても少ない量でもオーダーを請けおってくれるのはありがたい。

私たちのような新参者にも真剣に取り組んでくれる。

次回は出来た地金をお目にかけよう。
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by pencluster | 2014-06-07 21:34 | Going the Distance
ペン先用の地金を造る(その1)
ペン先用の地金は14kか18kが多いが最近では23kやら24kも出てきました。

しかし、もっともバランスに優れているのは14kです。

金が58.5%で残りを銀と銅で割った合金です。

もともと24分率はペン先用の合金を開発するために作られた比率。

そこで生まれたのが14kですが金の品位にうるさいフランスなどは18kを使います。

日本でもジュエリーなどでは18kが最低条件。多くの万年筆ブランドが18kを使用しています。

18kは品位も75%Auと高く、耐食性も優れるが、強度が低く柔らかいのが難点。

現行のペン先が固いというのは強度が低いためなのです。

18kが強いと思われている方が多いですが実はその逆。

筆圧の荷重による変形を抑えるため、ペンの板厚が厚いからです。

厚くなると剛性が上がり変形が抑えられその反力が筆記感の”固さ”として現れるのです。

しかし、今年90周年を迎えたモンブラン最初の”Meisterstück”は18kでした。

b0215343_22204096.jpg


昔の技術ではさぞかし固いと想像してしまいますが、実は凄く柔らかい。

なぜか?それは地金を造る時になましを入れず鍛錬比(加工度)を上げ、

加工硬化を利用していると考えられています。薄くすればその分材料を節約できます。

柔らかいペンが先に欲しいのでは無くコストが目的でもありました。

なおかつ品位を上げるには18kが必要だった。それは14kでも同じ。

1920年代に金を調達するのは大変でした。小メーカーほどペンが柔らかいのはその為です。

というわけで当時のメーカーは地金の薄肉化に必死に取り組んでいました。

現在では人件費のほうが高く省加工のほうがコストが易くなるのかも知れません。

後発メーカーの我々としてはこの18kニブの特性を目標に開発を進めることにしました。

古典をクリアしてこそ未来がある。どうせなら今では得難いペン先を作りたい。

次回はその成分、合金組成についてです。
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by pencluster | 2014-06-05 22:34 | Going the Distance
最後までやり抜くこと
最近お休みが多くてご迷惑をかけてしまっている。

昨日はシンガポールからのお客様から5回目にしてやっと空いている日に来られたと言われた。

実に申し訳ない。

4,5月と連続して仕入の出張と準備、輸入品の手続き、整備などが重なりお休みが多くなってしまった。

もうひとつは我々の目標であるオリジナルニブの開発が佳境に来ているため

試作のトライアルの技術指導に時間をとられるためです。

現在、様々なショップや手作り万年筆工房が「オリジナル」と称して販売しているペンは

量産品のデザイン違いだったり、軸のみ作って「オリジナル」と称している物が殆ど。

われわれは、ペン先の地金の溶成から前項手を自前で行う真の”オリジナル”に取り組んでいます。

手先のみでニブを作るのはそれほど難しくはありません。

我々が最初に久保工業所の門をたたいたのはペン先の生産に通じる部分があるためです。

しかし、久保工業所の方法では余り数はこなせません。手作り部分が多すぎるためです。

注文が来て数ヶ月、数年待つような作りは我々の目指すところではありません。

それは技能であって技術では無いからです。

技術というのはその方法を用いれば少しのトレーニングで目的の物が作れたり

性能が得られたりする物を言います。

我々はそれに取り組んでいるため、そのトレーニングを第三者に施しているため

お店を開ける時間を削らなくてはならなっています。

ヴィンテージ万年筆を販売する目的は高品質な過去の名品をお届けすることと

その技術を学ぶこと。そして、そのことを通じてお客様に「投資」いただいた

資金を開発に投入することにあります。

すでに、目標を定めて12年を迎えようとしています。

最初の作品(技術)の完成が間近に迫っている今、少しの間、みなさまに

ご辛抱をいただきたいと思っております。

そして今日から少しづつその取り組みをご紹介していきたいと思っておりますので

今後ともお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

”Going the Distanc” ・・・最後までやり抜きたいと思っております。

真央ちゃんのソチとまでは行かないまでもいつかは「集大成」を。

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by pencluster | 2014-06-01 21:45 | Going the Distance



こだわりの美麗ヴィンテージ万年筆を中心に少々深堀してご紹介していきたいと思います。
by pencluster
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